脂質―分類―⑤コレステロール―摂取―摂取量
コレステロールの摂取量
食事摂取基準
目標量
一般にコレステロール摂取による動脈硬化性疾患の罹患(りかん。病気にかかること)のリスクが推定されている。
そのため、「日本人の食事摂取基準(2010年版)」では、目標量として、コレステロールの1日あたりの摂取量は750mg未満とされていた。
しかし、身体では、食事からのコレステロールの摂取量に応じて、肝臓でのコレステロール合成量がうまく調節されるようフィードバック機構が働いている。
そのため、コレステロールの摂取量が直接的に血中の総コレステロール値に反映されるわけではない。
また、コレステロール含有率が高い卵の摂取量と動脈硬化性疾患罹患との関連を調べた2013年のメタアナリシス(過去に独立して行われた複数の臨床研究のデータを収集・統合し、統計的方法を用いて解析した系統的総説※)では、両者の関連は認められなかった。
※メタアナリシス - 薬学用語解説 - 日本薬学会 http://www.pharm.or.jp/dictionary/wiki.cgi?メタアナリシス
さらに、日本人を対象とした調査でも、卵の摂取量と心疾患や脳卒中による死亡率との関連はなく、1日に卵を2個以上摂取した群とほとんど摂取しない群との死亡率を比べても有意な差は認められていない。
そこで、「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、コレステロールの摂取量は低めに抑えることが好ましいものと考えられるとしながらも、目標量を算定するのに十分な科学的根拠が得られなかったとして、コレステロールの目標量をはじめとした食事摂取基準の指標は設定されていない。
逆に、コレステロールは動物性タンパク質が多く含まれる食品に含まれるため、コレステロールの摂取量を制限するとタンパク質不足を生じ、特に高齢者において低栄養を生じる可能性がある、として注意を促している。
以上、「日本人の食事摂取基準」(2015年版)、125-126頁を参考。
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